平嶋彰英・立教大特任教授=東京都豊島区の同大で2021年5月24日午後4時53分、金森崇之撮影
毎日新聞 2021/9/4 19:48(最終更新 9/5 15:24) 有料記事
菅義偉首相が総務相時代に打ち出し、官房長官になってから拡充させたふるさと納税制度を巡って菅氏と対峙(たいじ)し「左遷」された元官僚は、内閣発足から約1年での退陣に何を思うのか。元総務省局長で立教大特任教授(地方税財政)の平嶋彰英氏(63)は「菅さんは権力を維持することが目標となっていて、何をしたいのか最後まで分からなかった。なるべくしてなった結果だ」と厳しい目を向けている。
首相は3日、記者団に自民党総裁選への不出馬を決めた理由を「国民に約束しているコロナの感染拡大防止に専念したい」と説明した。この様子をテレビで見た平嶋氏は「1年前に言うべきセリフを今ごろ言っているように感じる。危機管理に強いと言っていたのにコロナ対策は常に後手に回っていた」と切り捨てた。
ふるさと納税は高額の返礼品競争が過熱し、総務省内でも懸念の声があった。菅氏は官房長官だった2014年、寄付控除の上限額を倍増させるよう求め、自治税務局長の立場で問題点を指摘した平嶋氏は更迭された。
人事権を握って官僚を動かすのは菅氏の政治手法だ。平嶋氏は、日本の新規感染者数について他国と比較するグラフとともに「さざ波」と表現した高橋洋一氏を内閣官房参与にした(5月に辞職)ことなどを例に挙げ、「官僚に対しても自分の都合のいい話や自分の欲しいデータだけ持って来いという姿勢で、自分のことを持ち上げてくれる人の言うことしか聞かない。トップとしての姿勢に問題があった」と言及する。
ワクチン接種の遅れや東京オリンピック開催のあり方にも疑問の目を向けた。「政権発足当初からワクチン接種に全力を挙げるべきだった。それなのに自分が総裁選で再選して衆院選で勝利するために、ワクチン接種を加速させたり、オリンピックをやったりしているように映った。自分の都合に合わせているようで、復興五輪の理念も伝わらなかった」
菅氏はこの1年間に何をし、どんな成果を残したのか。平嶋氏は「何もないと思う。デジタル庁も効率化だけで理念は感じられない。強いて言えば国民に首相の選び方が大事だと教えてくれた」と言い、「派閥の都合で首相を決めることがいかにおかしいか分かった。衆院選では各党がしっかりと争点を示して国民が判断できるようにすべきだ」と訴えた。【関谷俊介、金森崇之】
ふるさと納税、「富裕層の節税」指摘も
ふるさと納税は、居住地以外の自治体に寄付すると2000円を超える部分が住民税や所得税から控除される制度。第1次安倍政権で総務相だった菅義偉首相が提唱し、2008年度にスタートした。
菅首相が官房長官だった15年度に寄付控除の上限額が2倍に引き上げられると、高額な食料品や商品券を返礼品にする自治体が増え、寄付金の獲得競争が過熱。総務省は19年6月、返礼品調達費を寄付額の3割以下とし、地場産品に限るよう制度改正した。
寄付件数は毎年増え続けており、同省によると、20年度の寄付額は過去最高の約6725億円。一方、寄付額の45・1%に当たる約3034億円が返礼品の調達や、返礼品をショッピングサイトのように選べる民間ポータルサイトへの掲載手数料などに使われた。
また、高所得者ほど寄付額の上限が高く、高額な返礼品を受け取れる仕組みになっており、富裕層の節税に使われているという指摘もある。
菅さん本人も、「自分の意見と違う人は移動してもらう」と話していたが、移動させられたご本人の話で興味深い。これって、この1週間くらいの菅さんの動き(幹事長に辞めてもらう→党役員人事→内閣改造→解散→総裁選挙)そのものと同じではないのかな?結果、安倍前首相と小泉環境大臣の二人だけ忠告を受け入れて「振り出しにもどれ」のサイコロの目が出たみたい(笑)
平嶋彰英さんは、私の故郷、福岡の名門・修猷館高等学校の出身だったのか!6年前に菅さんとの縁が切れてラッキーだったと私は思います。
毎日新聞 2021/9/4 東京朝刊
毎日新聞 2021/9/4 19:48(最終更新 9/5 15:24) 有料記事
菅義偉首相が総務相時代に打ち出し、官房長官になってから拡充させたふるさと納税制度を巡って菅氏と対峙(たいじ)し「左遷」された元官僚は、内閣発足から約1年での退陣に何を思うのか。元総務省局長で立教大特任教授(地方税財政)の平嶋彰英氏(63)は「菅さんは権力を維持することが目標となっていて、何をしたいのか最後まで分からなかった。なるべくしてなった結果だ」と厳しい目を向けている。
首相は3日、記者団に自民党総裁選への不出馬を決めた理由を「国民に約束しているコロナの感染拡大防止に専念したい」と説明した。この様子をテレビで見た平嶋氏は「1年前に言うべきセリフを今ごろ言っているように感じる。危機管理に強いと言っていたのにコロナ対策は常に後手に回っていた」と切り捨てた。
ふるさと納税は高額の返礼品競争が過熱し、総務省内でも懸念の声があった。菅氏は官房長官だった2014年、寄付控除の上限額を倍増させるよう求め、自治税務局長の立場で問題点を指摘した平嶋氏は更迭された。
人事権を握って官僚を動かすのは菅氏の政治手法だ。平嶋氏は、日本の新規感染者数について他国と比較するグラフとともに「さざ波」と表現した高橋洋一氏を内閣官房参与にした(5月に辞職)ことなどを例に挙げ、「官僚に対しても自分の都合のいい話や自分の欲しいデータだけ持って来いという姿勢で、自分のことを持ち上げてくれる人の言うことしか聞かない。トップとしての姿勢に問題があった」と言及する。
ワクチン接種の遅れや東京オリンピック開催のあり方にも疑問の目を向けた。「政権発足当初からワクチン接種に全力を挙げるべきだった。それなのに自分が総裁選で再選して衆院選で勝利するために、ワクチン接種を加速させたり、オリンピックをやったりしているように映った。自分の都合に合わせているようで、復興五輪の理念も伝わらなかった」
菅氏はこの1年間に何をし、どんな成果を残したのか。平嶋氏は「何もないと思う。デジタル庁も効率化だけで理念は感じられない。強いて言えば国民に首相の選び方が大事だと教えてくれた」と言い、「派閥の都合で首相を決めることがいかにおかしいか分かった。衆院選では各党がしっかりと争点を示して国民が判断できるようにすべきだ」と訴えた。【関谷俊介、金森崇之】
ふるさと納税、「富裕層の節税」指摘も
ふるさと納税は、居住地以外の自治体に寄付すると2000円を超える部分が住民税や所得税から控除される制度。第1次安倍政権で総務相だった菅義偉首相が提唱し、2008年度にスタートした。
菅首相が官房長官だった15年度に寄付控除の上限額が2倍に引き上げられると、高額な食料品や商品券を返礼品にする自治体が増え、寄付金の獲得競争が過熱。総務省は19年6月、返礼品調達費を寄付額の3割以下とし、地場産品に限るよう制度改正した。
寄付件数は毎年増え続けており、同省によると、20年度の寄付額は過去最高の約6725億円。一方、寄付額の45・1%に当たる約3034億円が返礼品の調達や、返礼品をショッピングサイトのように選べる民間ポータルサイトへの掲載手数料などに使われた。
また、高所得者ほど寄付額の上限が高く、高額な返礼品を受け取れる仕組みになっており、富裕層の節税に使われているという指摘もある。
菅さん本人も、「自分の意見と違う人は移動してもらう」と話していたが、移動させられたご本人の話で興味深い。これって、この1週間くらいの菅さんの動き(幹事長に辞めてもらう→党役員人事→内閣改造→解散→総裁選挙)そのものと同じではないのかな?結果、安倍前首相と小泉環境大臣の二人だけ忠告を受け入れて「振り出しにもどれ」のサイコロの目が出たみたい(笑)
平嶋彰英さんは、私の故郷、福岡の名門・修猷館高等学校の出身だったのか!6年前に菅さんとの縁が切れてラッキーだったと私は思います。
毎日新聞 2021/9/4 東京朝刊