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火論  ポテサラと家事ハラ=大治朋子 / 毎日新聞

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伊勢丹のポテトサラダ” 写真はインフォ-ブログからお借りした  

  
ポテサラと家事ハラ=大治朋子 <ka-ron>

毎日新聞  2020年7月14日 東京朝刊
 
 「母親なら、ポテトサラダくらい作ったらどうだ」

 店でそんな男性の声をたまたま聞いたという女性のツイッター投稿が話題になっている。

 「驚いて振り向くと、総菜コーナーで高齢の男性と、幼児連れの女性。男性はサッサと立ち去ったけど、女性は総菜パックを手にしてうつむいたまま。私はとっさに娘を連れて、女性の目の前でポテトサラダ買った。2パックも買った。大丈夫ですよと念じながら」

 匿名のため真偽は不明だがこの投稿に共感したり同じような経験を持つと書いたりした人の「いいね」や「リツイート」は投稿から6日で52万件以上にも及ぶ。

 詳しいことは毎日新聞ニュースサイト(10日付)の記事で読んでいただきたい(有料記事なので途中まで)が、個人的にはポテサラを買う=家事手抜き=ダメ母という決めつけ▽家事をサボるダメ女を叱ってやるという上から目線▽言い捨てて去るという一方的な無礼さ――で即刻アウトである。

 さらに反響の大きさから考えるに、お総菜を買うことに罪悪感を抱かせるような社会の価値観やそこから来るプレッシャーを日ごろから感じている人が少なくないのかもしれない。

 元朝日新聞記者で和光大学の竹信三恵子名誉教授はその著書「家事労働ハラスメント――生きづらさの根にあるもの」(岩波新書)で家事労働に絡む抑圧の動きを「家事労働ハラスメント(家事ハラ)」と呼ぶ。家事ハラは「人から人への対人ハラスメントというより、社会構造によるシステムハラスメント」だという。

 日本では長らく家事は「3食昼寝付き」とまで皮肉られ労働とすら見なされなかった。「高齢の男性」は、そんなつまらん仕事しかしないくせにサボるとは何ごとだとお怒りなのである。この見下しの背景には男尊女卑、女性蔑視があることは言うまでもない。

 この蔑視は家事に限らない。女の仕事は男に劣るという偏見は日本社会の底流に横たわる。経済協力開発機構(OECD)の2019年統計によると日本の男女間賃金格差は23・5%で韓国に次ぎワースト2位。世界経済フォーラムが発表した社会・経済的男女格差を示すジェンダー・ギャップ指数でも日本は153カ国中121位(前回110位)で、特に政治進出への遅れがひどく144位(前回125位)と世界最低ラインだ。

 官邸には「すべての女性が輝く社会づくり本部」があるが女性閣僚は19人中3人だけ。お得意の見せかけ政治? 首相や閣僚はまずポテサラの作り方でも一から学んでみてはどうだろう。(専門記者)
  
 今、スーパーやコンビニに写真のポテトサラダのような総菜パックがたくさん売られているのは知っていたが、リンク先の記事も読んでみると、「高齢の男性」と「幼児連れの女性」は親子でもなさそうだ。年をとってくると固定観念が酷くなり、何気なく吐いた言葉で人を傷つけることもあるんだね。小父さんも気をつけなくては!

リンク先にはこんな記事もあった。フードライターの白央(はくおう)篤司さんは「料理にかぎらず、やったことないけど決めつけちゃう人っているね。(中略)ちなみに私はポテサラは面倒なので家では作りません……」「料理に限らず、世の中には『母はこうすべきだ』という無言の圧力がまだまだ多すぎる。ゆえにツイートが注目されたのかもしれません。ポテトサラダは氷山の一角です」と。

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