このタイトルの新聞広告を見て昨朝すぐに、本屋に走った(笑)。 藤原正彦さんは、米国と英国の大学で教壇に立った経験をお持ちの数学者でありエッセイストとしても知られる。父・新田次郎氏は小説『八甲田山死の彷徨』などの山岳小説を拓いた小説家・気象学者でちと有名な方。
サブタイトルは『大学入試改革は産業界主導の愚民化政策である』だが、10ページにわたって述べられている記述は興味深いことばかりだがとても紹介出来ないので私が特に印象に残る部分を下に抜粋します。
・政府が「グローバル人材」を強調する理由は、「英語が話せないと国際競争で負けてしまう」というものだ。本当にそうなのか。世界で一番英語がうまいのはイギリス人だ。なのにイギリスはほぼ二十世紀を通して経済的に斜陽だった。英語が世界一下手な日本人は、その間に最も大きい経済成長を遂げた。世界一下手は誇張ではない。(中略)この英語無能国民が、世界三位のGDPを誇り、自然科学でノーベル賞を二十四人も獲得していて、今世紀入ってからはアメリカに次いで世界二位だ。・・・
・幼い頃から英語を学び米英人に教えられるということは、単なる語学を超え、米英的発想、態度、文化を無垢な心に刻印されるということでもある。それは子供たちが日本の文化、伝統、情緒、道徳の良さに触れる機会を減少させ、日本人としてのアイデンティティー形成の妨げとなる。さらには英語を流暢に操る米英国人へのコンプレックスを助長する結果となる。あってはならぬ欧米文化の世界支配、に加担する結果になる。・・・
文藝春秋
亡くなった19歳上の小父さんの長兄は、イギリス英語の世界で長年働いていたが、2010年の年頭に楽天の社長が「英語を社内で公用語にする」と宣言したことを「馬鹿げている」と言っていたことを思い出した。その後の楽天のことは知らないが、グローバル化がインスタントな英語だけじゃないことだけは確かなようだ。外国で暮らしている日本の人たちが、日本の文化や歴史を勉強しはじめたことを幾つか聞いたこともある。