写真は鎌倉時代から続く古刹と輝く黄葉の大イチョウ 栃木「鑁阿寺(ばんなじ)」~LINEトラベルjp から
日本経済新聞 春秋 2019/9/29付
気象庁はその昔、なかなか面白い調査をやっていた。1960年代までの一時期、住民が夏服冬服にいつ着替えていつやめるか、こたつの使い始めと終わりはいつか――といったことを各地で調べる「生活季節観測」を試みていたのだ。蚊帳や火鉢も対象だったという。
▼職員が通勤時に街のサラリーマンやOL、当時の言葉だとBG(ビジネスガール)の服を眺めたり、周囲の家庭の様子を見聞きしたりして判定したそうである。2割の人が用いはじめた日を「初日」、8割の人がやめた日を「終日」とした。いま思えばアバウトな手法だが、暮らしのなかに季節感があふれていたのだろう。
▼東京での夏服の終日は、54年の記録では9月28日だったという。いまでもクールビズはあすまでという職場が多いから、衣替えの時期は往時と同じだ。とはいえ近年の秋の「暑さ」はそんな形式にまつろわず、先週も半袖短パン姿をあちこちで見た。地球温暖化は酷暑の夏を際立たせるだけでなく、涼秋を奪い去っている。
▼今週以降も高温傾向は続くらしい。このぶんではクールビズの「終日」はまだ先になりそうだし、短パンの出番だってあるかもしれない。ちなみに気象庁の「季節観測」の伝統は、ウメの開花日やツバメの初見日など生物については健在だ。データを見ると、秋を彩るイチョウの黄葉日が遅くなったのもありありとわかる。
ほんと、昨日秋が来たと思ったら、今日は夏!熱帯、亜熱帯、温帯、亜寒帯、寒帯の気候帯区分からそろそろ温帯を外す時代が来ているのではないか?(笑)。だけど、長閑でアバウトな観測も近代の先端科学も大差がないように思うなって言ったら気象庁に叱られるかな?何卒、トレッキングと紅葉・黄葉日の時期がずれませんようにお祈りしておこう!
日本経済新聞 春秋 2019/9/29付
気象庁はその昔、なかなか面白い調査をやっていた。1960年代までの一時期、住民が夏服冬服にいつ着替えていつやめるか、こたつの使い始めと終わりはいつか――といったことを各地で調べる「生活季節観測」を試みていたのだ。蚊帳や火鉢も対象だったという。
▼職員が通勤時に街のサラリーマンやOL、当時の言葉だとBG(ビジネスガール)の服を眺めたり、周囲の家庭の様子を見聞きしたりして判定したそうである。2割の人が用いはじめた日を「初日」、8割の人がやめた日を「終日」とした。いま思えばアバウトな手法だが、暮らしのなかに季節感があふれていたのだろう。
▼東京での夏服の終日は、54年の記録では9月28日だったという。いまでもクールビズはあすまでという職場が多いから、衣替えの時期は往時と同じだ。とはいえ近年の秋の「暑さ」はそんな形式にまつろわず、先週も半袖短パン姿をあちこちで見た。地球温暖化は酷暑の夏を際立たせるだけでなく、涼秋を奪い去っている。
▼今週以降も高温傾向は続くらしい。このぶんではクールビズの「終日」はまだ先になりそうだし、短パンの出番だってあるかもしれない。ちなみに気象庁の「季節観測」の伝統は、ウメの開花日やツバメの初見日など生物については健在だ。データを見ると、秋を彩るイチョウの黄葉日が遅くなったのもありありとわかる。
ほんと、昨日秋が来たと思ったら、今日は夏!熱帯、亜熱帯、温帯、亜寒帯、寒帯の気候帯区分からそろそろ温帯を外す時代が来ているのではないか?(笑)。だけど、長閑でアバウトな観測も近代の先端科学も大差がないように思うなって言ったら気象庁に叱られるかな?何卒、トレッキングと紅葉・黄葉日の時期がずれませんようにお祈りしておこう!