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窓をあけて にぎやかな映画館=編集委員・元村有希子  /  毎日新聞

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写真は塚本晋也さんのtsukamoto_shinya on Twitterからお借りした  

   

毎日新聞  2019年9月7日 東京朝刊
 「映画館は、家業なんです」北九州市にある「小倉昭和館」の3代目館主、樋口智巳(ともみ)さん(59)は7年前、主婦から赤字経営のこの映画館のあるじになった。

 創業は1939年。製鉄所のある八幡や小倉の街は活気にあふれ、初代は芝居小屋など4館を経営した。だが、戦後の全盛期の後は全国的な映画不況に「鉄冷え」も加わり苦境に。そんな中でも、2代目の父親が手放さなかったのが昭和館だった。

 転身のきっかけは10年前。イベントで来館した女優の有馬稲子さんから「あなたが頑張らなきゃダメよ」と激励された。そうだ、私は映画館で育った娘だ。映写室の小窓から、せりふを覚えるほど映画を見た。駄目なら駄目で「不出来な3代目」が責任をかぶろう。押しかけるように継いだ。昭和館のような名画座は北九州で一つだけになっていた。

 封切館で上映を終えた作品を2本立てで。入れ替えなし、飲食物の持ち込み歓迎。設備が古く客席の傾斜が急だからと、幕あいには館主自ら「おやつ」を売り歩く。ロビーには、映画愛を共にする俳優たちの色紙が並ぶ。

 今年は創業80周年だ。「日付が分からないので父の誕生日に合わせた」という記念上映会に参加した。270席は往年のファンで満席。あちこちから弁当をつかう音、お茶を飲む音、上映中もため息や笑い声が絶えない。

 そういえば最近の映画館は妙に静かだ。スクリーンの鞍馬天狗に喝采が、高倉健さんに「待ってました」と大向こうから声が飛んだおおらかな時代が、ここでは健在なのだ。智巳さんは「お客様が喜び、劇場が喜ぶ。そんな映画館であり続けたい」という。昭和館は今年、20年ぶりに赤字を抜け出した。

  
  いいね~、最近はシネコンしか知らないのだが、どこか画一的でひとつの映画ごとにトコロテンみたいに押し出される。昔は上映の途中から入場して次の上映の、前に観たストーリーの続きまで観たり、2回すべてを観たこともあったな~。人気映画は座席の後ろにたくさんの人が立ち見で、上映が終わるとやっとシートに座れたりする。デコボコ感があったけど人間味があった。

 当時は気にならなかったが、タバコの煙が空中に舞って映写機とスクリーンの中間にモヤモヤしたこともあったね~(笑)。樋口智巳さんは、昔のスタイルで黒字にされたとは凄いです。スーパーマケットの近くで小売店舗を維持しているのと同じだよね!

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