はじめに
私は大阪で生まれ、大阪で育ち、大阪で就職し、大阪で作家となった。・・・(略)
大阪づくし 私の産声 目次
第一章 『花のれん』、『白い巨塔』他 ー 自作を語る
第二章 あのひと やつし やなあ ー 大阪あれこれ
第三章 半年勉強、半年執筆 ー 私の小説信条
こぼんちゃん ー おわりに
第二章 の大阪女系分布図 (から)
嬢はん、御寮人はん、お家はん(抜粋)
大阪ほど女性の呼称にヴァラエティがあり、複雑な呼び方をするところは、ほかに例がないのではなかろうか。
男性の呼称で、大阪独特の呼び方というのは、〝ぼんぼん〟〝ぼんち〟ぐらいで、しかもぼんぼんと、ぼんちは、良家の坊ちゃんという同意語であるが、女性の呼称となると、〝嬢(いと)はん〟〝御寮人(ごりょうん)はん〟〝お家(え)はん〟とその内容にと年齢によって、なかなかヴァラエティに富んでいる。
嬢はんというのは、愛(いと)し、もしくは幼(いとけな)い人という語からきた言葉で、この嬢はんも、姉妹がある場合は、上が嬢(とう)さん、真ん中が中嬢(なかあん)さん、下が妹嬢(こい)さんと呼び分けられることになっている。御寮人はんというのは、寮とは部屋の意で、まだ部屋住みの身分で舅姑(きゅうこ)のある人の意味である。お家はんというのは、御家(おいえ)さまの略訛(りゃっか)で、若夫婦の上にあって、家内を差配する人という意味を持っているから、標準語でいえば、さしずめ、女のご隠居さまという意味になるが、面白いことは、未婚の嬢はんはさておき、御寮人はんにしても、お家はんにしても、部屋住みの身分の人とか、家内(いえうち)を差配する人という意味を持ち、ちょうど蝸(かたつむり)が家を背負っているように、呼称そのものの中に、家というものの宿命と強く結びつけられている。
したがって、昔から女の美徳は、すべて家中心にものを考える点だとされている。船場の商家に、主人の家長権に対し、御寮人はんの主婦権が確立されていることも、尊妻囲妾(そんさいいしょう)の風習があることも、すべて、大阪の女が家業中心にものを考えるところから出発している。
山崎豊子さんは船場の老舗昆布屋に生まれ、現:京都女子大学を経て毎日新聞社に入り、学芸副部長(当時)・井上靖氏に記者の指導を受けたという。数ある長編小説のきめ細かな取材はそこから発しているようだ。
この本には『白い巨塔』などの人物やストリー設定などの悩み抜いた執筆過程がつぶさに書かれていた。wikiにはモデルが大阪大学医学部とか『華麗なる一族』は神戸銀行などと簡単に記されて、小父さんもそんな風に思っていたのだが、山のような人からの取材や膨大な資料などからのフィクションだということが書き記されていた。
過日、NHKドラマ「平成細雪」を観ていたら、姉妹で、いとはん、中あんちゃん、 きあんちゃん、こいさん などと呼びあっていて、よく分からないまま観ていたら山崎さんの詳しい説明も載っていたので嬉しかったし、大阪弁が分かったような気になった(笑)。小父さんは大阪弁が使えないし、知らない言葉も多すぎる。
私は大阪で生まれ、大阪で育ち、大阪で就職し、大阪で作家となった。・・・(略)
大阪づくし 私の産声 目次
第一章 『花のれん』、『白い巨塔』他 ー 自作を語る
第二章 あのひと やつし やなあ ー 大阪あれこれ
第三章 半年勉強、半年執筆 ー 私の小説信条
こぼんちゃん ー おわりに
第二章 の大阪女系分布図 (から)
嬢はん、御寮人はん、お家はん(抜粋)
大阪ほど女性の呼称にヴァラエティがあり、複雑な呼び方をするところは、ほかに例がないのではなかろうか。
男性の呼称で、大阪独特の呼び方というのは、〝ぼんぼん〟〝ぼんち〟ぐらいで、しかもぼんぼんと、ぼんちは、良家の坊ちゃんという同意語であるが、女性の呼称となると、〝嬢(いと)はん〟〝御寮人(ごりょうん)はん〟〝お家(え)はん〟とその内容にと年齢によって、なかなかヴァラエティに富んでいる。
嬢はんというのは、愛(いと)し、もしくは幼(いとけな)い人という語からきた言葉で、この嬢はんも、姉妹がある場合は、上が嬢(とう)さん、真ん中が中嬢(なかあん)さん、下が妹嬢(こい)さんと呼び分けられることになっている。御寮人はんというのは、寮とは部屋の意で、まだ部屋住みの身分で舅姑(きゅうこ)のある人の意味である。お家はんというのは、御家(おいえ)さまの略訛(りゃっか)で、若夫婦の上にあって、家内を差配する人という意味を持っているから、標準語でいえば、さしずめ、女のご隠居さまという意味になるが、面白いことは、未婚の嬢はんはさておき、御寮人はんにしても、お家はんにしても、部屋住みの身分の人とか、家内(いえうち)を差配する人という意味を持ち、ちょうど蝸(かたつむり)が家を背負っているように、呼称そのものの中に、家というものの宿命と強く結びつけられている。
したがって、昔から女の美徳は、すべて家中心にものを考える点だとされている。船場の商家に、主人の家長権に対し、御寮人はんの主婦権が確立されていることも、尊妻囲妾(そんさいいしょう)の風習があることも、すべて、大阪の女が家業中心にものを考えるところから出発している。
山崎豊子さんは船場の老舗昆布屋に生まれ、現:京都女子大学を経て毎日新聞社に入り、学芸副部長(当時)・井上靖氏に記者の指導を受けたという。数ある長編小説のきめ細かな取材はそこから発しているようだ。
この本には『白い巨塔』などの人物やストリー設定などの悩み抜いた執筆過程がつぶさに書かれていた。wikiにはモデルが大阪大学医学部とか『華麗なる一族』は神戸銀行などと簡単に記されて、小父さんもそんな風に思っていたのだが、山のような人からの取材や膨大な資料などからのフィクションだということが書き記されていた。
過日、NHKドラマ「平成細雪」を観ていたら、姉妹で、いとはん、中あんちゃん、 きあんちゃん、こいさん などと呼びあっていて、よく分からないまま観ていたら山崎さんの詳しい説明も載っていたので嬉しかったし、大阪弁が分かったような気になった(笑)。小父さんは大阪弁が使えないし、知らない言葉も多すぎる。