2019/7/25 17:01 日本経済新聞 電子版
【パリ=白石透冴】フランス、ドイツなど西欧を中心に記録的な熱波が押し寄せている。既に各地で最高気温を更新しており、25日もパリで40度を超え過去最高を更新した。フランスでは熱波の影響で原子炉2基を止めた。ベルギーでは一部公務員が業務を停止する。夏休みシーズンに入る各地では、観光や農業への影響が懸念されている。
仏南西部ボルドーでは23日にセ氏41.2度まで上がり、03年に記録した40.7度を超えた。猛暑を受け仏電力公社(EDF)は22日、南仏ゴルフェシュの原子炉2基を30日まで停止すると発表した。仏国内の別の3基の出力も下げた。原発近くにある川に使用されて温まった原子炉の冷却水を放流するとさらなる水温上昇を招き、生態系に悪影響が出る恐れがあるためだ。
過去最高水準の暑さとなっている(24日、パリのルーヴル美術館近くで水浴びをする市民)=AP
原発の一時停止や出力低下で減る発電量は仏全体の供給の3%に当たる。今のところ電力需要には対応できているが、熱波が続けば、さらに十数基の一時停止も検討する。電力卸売価格の上昇につながる可能性もある。
ベルギーの首都ブリュッセルでは26日まで清掃など主に外で作業する公務員が業務を取りやめる。ベルギー西部では山火事を防ぐため、森林近くでの喫煙やたき火を禁止した。英国南東部でも線路が高温でゆがむ可能性があるため、運行会社が速度を落として列車を走らせることを決めている。市民に鉄道の利用を減らすよう求めるキャンペーンも始めた。
欧州の熱波は6月下旬に続き今年2回目だ。アフリカからイベリア半島を経由して欧州上空に進入した高気圧が西欧を中心にとどまり、7月23日ごろから気温が上がっている。25日が暑さのピークと予想され、パリのほかドイツ、ルクセンブルク、ベルギーの主要都市で記録を更新しそうだ。
地球温暖化に伴って今回のような異常気象が増えるとの見方が多い。世界気象機関は今月2日の報告書で「欧州の熱波は人間の活動が原因である可能性が高い」との専門家の意見を紹介した。米海洋大気局によると、今年6月は地球全体でみると過去最高の暑さだった。
欧州経済への悪影響も懸念される。欧州全体で約7万人の死者を出した03年の熱波では、フランスの成長率が年0.1~0.2%押し下げられたとされる。各国政府は日中なるべく外に出ないよう呼びかけているため、観光施設への来場者数は減少しそうだ。
小麦、メロンなどの農作物の生育にも悪影響が出るのは必至だ。暑さで死亡する家畜も増える可能性が高い。フランス政府は気温が上昇する午後1~6時の動物の輸送を禁止した。欧州連合(EU)に対しては、農家への補助金として約10億ユーロ(1200億円)を割り当てるよう求めた。
原子炉2基、さらに十数基の一時停止なんてことになったら、計画停電の必要が出てくるのじゃーないかな?屋外作業を止めるか!そうそう今日外出したら、こんな暑い日の1年後にオリンピック競技大会をやるんだ、と思ったね。03年の熱波での死者7万人を越えることのないように祈るばかりだ。家庭のエヤコン設備は増えたのかな?