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あぶくま抄  国産線香花火(7月14日) / 福島民報

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写真は the360life からお借りした
 
 いいね~!近年は打ち上げ花火のようなものが流行っている気がするが、子供の頃の花火は線香花火からはじまった。火玉が落ちないようにじーっと手で持って見つめていたものだ。

 そうか、そこにも日本の伝統の巧の技(たくみのわざ)が仕込んであったのか!今、考えると花火大会の大輪の輪が変化するように手元でも牡丹、松葉、柳、散り菊などの小宇宙が展開されていたのか!これは孫にも伝授しなければ!

    

福島民報 2019/07/14 09:10

 線香花火に火を付ける。次第に大きな丸い玉となり、パチパチと音を立てる。誰が一番最後まで、ともし続けられるかを競い合う。夏が訪れるたびに、郡山市の四十代の会社社長は子どもの頃の記憶をたどる。

 会社は建設土木資材の販売を手掛ける。十年ほど前、復刻された国産の線香花火に巡り合う。すぐに火玉が落ちる外国産に物足りなさを感じていた時期だった。「日本の技を子どもたちに伝えたい」と仕入れを始めた。色鮮やかな和紙をよって、一本ずつ手作業で仕上げられている。

 十本入り六百円と二十本入り千円の二種類をそろえた。少々、値は張るが、火花が長持ちする。「牡丹[ぼたん]」に始まり、「松葉」、「柳」を経て「散り菊」で終わる。<一本の燃え方には、「序破急[じょはきゅう]」があり「起承転結」があり、詩があり音楽がある>。戦前の物理学者寺田寅彦は随筆「備忘録」(ゴマブックス刊)にこう表現する。

 燃える時間が長い分、人生と重ね合わせてみるのも風情がある。牡丹が子どもなら、松葉が青年、柳が壮年、散り菊が晩年といったところか。年を重ねるにつれて、幼少の時とは違った情緒に浸れる。国産の魅力をひもとき、夏の思い出をつくろう。

   

【360.life】落ちない! 国産線香花火「手作り線香花火 巧」
 

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