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論点 日米首脳会談 「未来志向の同盟構築を 寺島実郎」 / 毎日新聞

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令和初の国賓として大統領専用機で来日したトランプ米大統領(右)とメラニア夫人=羽田空港で2019年5月25日午後5時19分、丸山博撮影
  
 トランプ大統領夫妻も明日は大相撲の観戦らしいが、こちらの方はスター的野次馬でテレビを観ることにしよう(笑)。

 今朝は、朝早く起きて毎日新聞を開いたら寺島実郎さんのインタビューが載っていた。TBS「サンデーモーニング」での寺島さんの発言はいつもしっかり聞いているのだが、この記事には実に納得した。政治家に、自民党にも野党にもこのような考え方、発言をする人はいないのか?むしろ政治家の皆さん、日本国民の皆さんにこのインタビューをしっかり読んでもらいたいものだ。

   

毎日新聞 2019年5月25日 東京朝刊
未来志向の同盟構築を 寺島実郎 日本総合研究所会長

 「令和」最初の日米首脳会談は、今後の日米関係を見直す大きな転機になり得る。現在の安倍政権の対米政策を一言で表すならば「過剰同調」だ。必要以上に米国の政策にシンクロナイズして、日本が築き上げてきた世界の信頼感を損ないつつある。そのことを深く自覚し、新しい時代に向けた政策転換のきっかけとすべきだろう。

 1980年代から「ドナルド・トランプ」という人物を知っているが、基本的に自分(自国)中心で、物事を「ディール(取引)」でしか考えない性格だ。対日本観も基本的に、90年代に企業経営者として味わった不愉快な思いを引きずっている。最近の対日交渉で、巨額の防衛装備の新規購入や、カジノの利権がうわさされる統合型リゾート開発を求めていることが物語っている。

 安倍晋三首相はトランプ米大統領との蜜月ぶりをアピールしたいようだが、トランプ氏は親日派でもなければ日本に深くコミットしようとしている理解者でもない。安倍首相を見る彼の目に深い信頼と敬愛が感じられるだろうか。そこは冷静に人物を見極めることが重要だろう。

 にもかかわらず、日本政府の対米方針は基本的に従来のままだ。ワシントンには「親日家」と称し、日本問題を長年飯のタネにしてきた専門家たちがいる。確かに日本との間に太い人脈を持ってはいるが、改革には極めて消極的だ。一方、日本側にも「知米派」と呼ばれる多数の政治家、外交官、メディアがいて、過去の呪縛から抜け出せずにいる。トランプ氏自身が古い枠組みや慣習などを意に介さない独自外交を進めているのに、固定観念にとらわれ、過剰なまでに同調している。

 例えば、日本は広島・長崎に原爆を投下された唯一の被爆国なのに、国連で採択された核兵器禁止条約に参加しようとしない。取り立てて言うほどの功績もないトランプ氏にノーベル平和賞の推薦を画策するなど、世界の非核化の先頭に立つべき存在であることを忘れている。

 東南アジア諸国を中心に日本への失望感が広がっている。中国脅威論をもり立てるだけの米国に同調する国が、アジアで信頼されるだろうか。アジアの一員として敬愛され、この地域で米国を孤立させない日本であってこそ、国際社会で存在感が維持できる。

 試金石は沖縄だ。米軍普天間飛行場の辺野古移設問題ばかりに終始しているが、冷戦構造を前提にした在日米軍基地の意義を抜本的に見直すべきではないか。世界の構造変化が起きている中で日米政府はもう一度、アジア全体での米軍基地の配置を、中国の台頭を含めた長期的視点に立って再設計する必要がある。勇気を持って日本がその議論を誘導してゆくべきだろう。トランプ氏自身が「もはや米国に依存するな」と言っている。未来志向の日米同盟を再構築する時が来ている。

 まず、日本自身が世界の中での役割を認識し、信念を基に行動する。広がる「アジアダイナミズム」の中で、中国やインドを含む国々と正面から向き合い、アジアの中で信頼と影響力を築いてゆく。そのことが、新たな対米関係の基軸にもなってゆくはずだ。【聞き手・森忠彦】

人物略歴 てらしま・じつろう 1947年生まれ。早大院修了。三井物産戦略研究所会長などを経て現職。多摩大学学長。TBS「サンデーモーニング」などに出演。




日本の具体的成果困難 ケント・カルダー 米ライシャワー東アジア研究所長

 令和に入り、新しい天皇陛下が会見する最初の国賓がトランプ米大統領になることは、両国の関係がいかに近くなったかを象徴している。

 旧日米安全保障条約が発効した1952年当時から日米関係は大きく変わった。冷戦下の米国にとって、太平洋の反対側に位置する日本はソ連を倒すための重要な同盟国との意味合いが強かった。中曽根康弘首相と「ロン・ヤス」と呼び合うほど親密な関係を築いたレーガン大統領は、そう考えていた。・・・ 。【聞き手・ワシントン古本陽荘】 ケント・カルダーのインタビューは  こちらで

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