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読む写真 Photo 海辺おおいそびえ立つ / 毎日新聞

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小泉海岸に迫る長大な防潮堤=宮城県気仙沼市で、梅村直承撮影 
  
  ふと、神戸の舞子公園の松林をイメージしてみた。もし、あの地に15mくらいの高さで、幅90mの防波堤が築かれたとしたら・・・。明石海峡がダムに見えはしまいかと。なんだか下の記事・佐藤義人さんの無念さの一端が想像できるような気がした。

 大自然の驚異から守る必要はあるだろう、でも写真で知るようなドバイみたいな無尽蔵のお金が沸いてくるわけでもない。日本で文化的に暮らすには首都圏でも地方でもコンクリートジャングルとつき合っていくしか方法はないのかな?


   


読む写真 Photo 海辺おおいそびえ立つ 

毎日新聞 2018年12月8日 東京夕刊

  「美しい松林だったんだよなあ」。小泉海岸(宮城県気仙沼市)の散歩が日課の佐藤義人さん(78)は長大な壁に行き当たるといつも、そう思う。約800メートルにわたって周辺の海岸線を覆う高さ14・7メートル、最大幅約90メートルのコンクリートの塊。2011年の東日本大震災後に東北各地で建設されている防潮堤の中で最大級のものだ。

 大震災から約4カ月後、国は津波対策をまとめた。数十年から百数十年に1度発生する規模の津波(L1)と東日本大震災級の津波(L2)に分類し、L1を防潮堤で防ぐ考え方だった。通知を受けた被災自治体は防潮堤の整備計画を進めた。

 巨大建造物の建設が周辺環境に与える影響、海が見えないことへの住民の不安、防潮堤が守る集落自体の高台移転--。さまざまな問題から計画に反対の声が上がったが、ほとんどはそのまま着工された。

 小泉海岸の豊かな自然を守るため防潮堤を内陸に築く代替案を県に示した阿部正人さん(51)は「住民も自治体も被災直後の混乱の中で計画を十分検討する余裕がなかった」と振り返る。

 施工会社は環境への配慮から沿岸部に広大なビオトープを作り希少種保護に取り組んだが、防潮堤は海沿いに造られた。阿部さんは「後々、『他の方法もあったのでは』と考える材料になれば」とそびえ立つ防潮堤を見上げた。

 585カ所、総延長363キロの防潮堤を築くつち音は20年度まで東北沿岸で響き続ける。
【写真・文 梅村直承】 

 
 
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