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Interview 小野リサ 30年分のありがとう ボサノバの心を日本の歌に注ぐ / 毎日新聞

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  小野リサさんのボサノバは随分テレビで堪能させてもらった。ボサノバと言ったら最初に思い出すのはやはり「イパネマの娘」だね。小父さんも、ギターでコードをものにしようと20代の頃、楽譜を買ってきたことがあったが、全然無理だったね(笑)。

 彼女の歌長いこと聴いたことがなかったが、こんな企画もやっていたんだ。「小野リサスタイル」だけで30年続いているとは感心するね。ボサノバ普及の功績に対し、ブラジル政府から勲章までもらったってやはり本物だ。 


小野リサ 上を向いて歩こう
  


Interview 小野リサ 30年分のありがとう ボサノバの心を日本の歌に注ぐ 

毎日新聞 2018年6月26日 東京夕刊
 日本におけるボサノバの歴史は、きっと渡辺貞夫らがジャズのフォーマットで持ち込んだのを端緒とするであろう。だが、一般に広くボサノバの魅力を伝えたのは小野リサに違いない。1989年のデビューで、今年を30周年イヤーとして記念アルバム「旅 そして ふるさと」(ドリーミュージック)を発売し、全国をツアー中である。

 新作は、タイトル通り、日本中を旅して回るような名曲を小野流でボサノバ化したもの。2011年に発表した「ジャポン」も日本の歌を集めたが「オリビアを聴きながら」「あの日にかえりたい」「異邦人」などテンポのあるJポップ中心だった。今作は、「恋の町札幌」「小樽運河」「アメリカ橋」「南国土佐を後にして」「長崎の鐘」など、ほとんどが演歌・歌謡曲の「ご当地ソング」ばかり。異例では……。

 「記念年ということで本格ボサノバものも考えましたが、30年を支えてくれた日本のファンに『ありがとう』を言いたい、と思った」と企画のきっかけを語る。「ただ、相当チャレンジでした。どの曲も、自分の音楽にないものばかり。宇宙空間にいるみたいだった。その分、楽しめたし、作り終えたらもっと歌いたくなった」と笑う。「港が見える丘」「星影の小径」などはなじみやすかったが、「女ひとり」は「シンプルなだけに大変だった」と振り返る。

【小野リサ】港が見える丘 (ニューアルバム「旅 そして ふるさと」より)
  

 だが、ここまで歌謡曲にこだわる必要があったのだろうかと問うと「実は、こんな種類の曲こそが、私の根源的な『歌』だったのかも、と思う時があるんです」と切り出した。

 「サンパウロにいた少女時代、現地の日系人たちが『いつでも夢を』など古い歌謡曲を口ずさんでいるんです。私自身は歌っていなくても、ブラジルに住んでいる日系人の『故郷の歌』『心の歌』なんだと思う。ですから、録音やツアーで歌っていくことが、私の『ふるさと日本の旅』になっている気がする」と説明する。

 ボサノバ化することについても「ボサノバって二つ側面がある。スタイルとスピリット、形と精神。私はボサのスピリットを、違う形の歌に注ぎ込む作業をして新しい音楽を作っているのだと思う」と整理している。

 ツアーは、7月18日に大阪・新歌舞伎座など全国で。また、本格的なボサノバ公演として、同20~23日ブルーノート東京、同25日ブルーノート名古屋で、カルロス・ジョビンの息子パウロと孫のダニエルらと共に「ボサノバ誕生60周年記念」ライブを行う。【川崎浩】



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