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人生は夕方から楽しくなる  ザ・ドリフターズ、仲本工事さん 「全員集合」は留年中、妻の成功祈る「親心」/毎日新聞

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妻の純歌さんと焼き台の前に立つ。「『ドリフの仲本』であることをずっと大切にしてきた。そういうものを人生で一本、持てたのは大きいよね」=東京都目黒区で、渡部直樹撮影 
   
 小父さんが偉そうにブログの70歳代「がんばるオヤジランキング」で頑張っているつもりでいたら76歳の仲本工事さんは芸能界も引退しないで、やきとり屋を経営したり演歌歌手の若奥様の応援もしていたのか!6歳も下の小父さんは、もっと人生を謳歌しなくっちゃー!
 
   

人生は夕方から楽しくなる  ザ・ドリフターズ、仲本工事さん 「全員集合」は留年中、妻の成功祈る「親心」

毎日新聞 2017年10月13日 東京夕刊
午後6時、住宅街の一角に、「やきとり」の赤ちょうちんがともる。通りに面した焼き台からのぞくと、店内は昭和を思わせるレトロな雰囲気だ。常連さんがそぞろ歩きでやってきて、こぢんまりとした店は20人ほどですぐに満杯に。酒瓶が並んだカウンター付近には、ウエーター役のやたらと姿勢の良い男性。「ザ・ドリフターズ」のこの人だ。東京・目黒の東急自由が丘駅から徒歩十数分の「仲本家(なかもとけ)JUNKAの台所」。夫婦で居酒屋を経営するオヤジはタイトな白の長袖Tシャツ姿で出迎えてくれた。「わりとラフな格好が好き。だいたいシャツかTシャツ1枚ですね」

1985年に16年間続いた伝説のバラエティー番組  「8時だョ! 全員集合」を卒業した。ドリフ時代を振り返る。「一つの会社みたいでしたね。いかりや長介さんが社長、僕ら4人は社員で」。ドリフは、個性の火花散る「ガチな現場」ではなかったの? 「ふふふ。実は5人の役割が決められていたんです。僕は『体操の仲本』。そこからはみ出すことは許されなかった。コント終盤に笑いのヤマが来るように、台本通りに役割を果たす。チームワークですね。それが、ソロになって初めて個性を出すことの楽しさを知った。結局は『ドリフの仲本』の延長線なんだけど」

 その後の活躍は、知られる通りだ。テレビのバラエティー番組やドラマ、舞台に出演。歌手としてライブもこなしてきた。「僕はあれしたい、これしたいがないんですよ。指名された仕事を一生懸命やるだけ。一番のプレッシャーは、ドリフの名を汚さないということ。そういう意味では永遠にドリフから卒業できず、『留年』中なのかも。ただね、ドリフは特別です。その支えがあるから、ぶれずに頑張ってこられたように思います」

 5年前、71歳で再々婚。「27歳年の差婚」と話題になった。妻の純歌(じゅんか)さんは高知県出身の演歌歌手。なれ初めは、仲本さんが還暦を機に「自らの原点」として再開した歌手活動だった。

 全国のライブハウスを回っていたところ、高知でお客さんとして来ていたのが、純歌さんだった。ライブを終えると紙切れを手渡され、後で開けてみると「私がパーソナリティーを務めているラジオ番組に出てくれませんか」。仲本さんは快諾した。

 後日、純歌さんから「東京で歌うことになったので見に来ませんか?」と誘われた。そこで会って「二目ぼれ」。「初対面の時にはろくに顔を見ていなかったんですよ。2回目に『お、なかなかの美人じゃない』ってね」。歌手として同じステージを踏むようになり「いつの間にか、そういう仲に」。結婚を決めたのは「カトちゃん」こと加藤茶さんが6年前、「45歳年の差婚」で話題を集めた時、「俺だけじゃない、仲本もだよ」と暴露したから。「まあ、こういう機会だから、と正式に結婚することにしたんですね」

 居酒屋は2年前から、2人で切り盛りしている。純歌さんが料理し、仲本さんはライブや舞台がない日に注文を取ったり、料理を運んだりする役だ。「かみさんは料理上手で、店を始める前は、仕事仲間を自宅でもてなしていたんですね。次第に人のつながりが広がって『お店を出せば、集まる場所ができるよね』という話になって」

 菊ときゅうりの酢の物、野菜の煮物など、色とりどりの総菜がカウンターに並ぶ。仲本さんは満足げだ。「どれもおいしいですよ。僕の健康の秘訣(ひけつ)です」。純歌さんにどんな夫か聞くと「旦那さんであり、親のような存在ですね」。

 「迷う暇もなく、人生を駆け抜けてきた」と振り返る表情は穏やかだ。どんな夢を抱いているのかと尋ねると「長生きかな! 健康でいたいよね」と即答し、元気の秘密は?との質問には「ふふふ。やっぱり若い奥さんをもらうことだろうね」とちゃめっ気たっぷり。だが、真顔になりこう付け足すのだ。「純歌さんが歌で独り立ちできますように、かな」。妻への「親心」がのぞいた。

 帰り際、「写真はいいの?」。ぽかんとしていると「記念写真だよ」とソファの隣を空けてニヤリ。恐縮しながらカメラに納まると、「お兄ちゃんは?」とカメラマンも促す。「貴重な一枚ですよ」と言われてうなずくと、こんな一言を投げかけてきた。「貴重よ。あと何年生きるか、分からないからね」。抱腹絶倒の1時間。仲本さんは今も愛すべきコメディアンだった。【鈴木美穂】

 ■人物略歴 なかもと・こうじ  1941年、東京生まれ。学習院大に在学中、  ジェリー藤尾さん率いるバンドに参加。65年「ザ・ドリフターズ」に加入。69~85年放送の「8時だョ! 全員集合」で人気者に。俳優やミュージシャンとしても活躍中。






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