〈私を野球に連れてって/観客席へ連れてって/ピーナツとクラッカージャックも買ってね/家に帰れなくたってかまわない〉。
▼1949年のミュージカル映画「私を野球に連れてって」のテーマ曲。古き良きアメリカを象徴するような歌だ。二つの大戦で疲弊する世界の中で、繁栄を謳歌(おう か)していた時代。憧れの国として輝いていた。
TAKE ME OUT TO THE BALL GAME
▼〈僕らは、1箱のタバコとミセス・ワーグナーのパイを買いアメリカを探しに歩き出した〉。サイモン&ガーファンクルの「アメリカ」(1968年)は、若い男女のあてどない旅を歌う。
▼超大国として勢力を振るいながらも、米ソ冷戦時代にあってベトナム戦争の泥沼から抜け出せずに、苦悩していた。〈今、僕は空っぽなんだ、むなしいんだ、どうしてなんだろう?〉。若者たちは未来を見失っていたころ。
America
訳詞
▼アメリカの光と影―。この二つを背負うのが大統領。再選されたオバマ大統領は4年前、「イエス ウィー キャン」と訴え颯爽(さっ そう)と登場したが、国民を二分した激しい選挙戦のしこりをどう克服するか。
▼とはいえ、再び内外からの期待が集まる。大の音楽ファンというオバマ大統領。好きなボブ・ディランは歌う「とにかく時代は変わりつつあるんだから」。変革への道は半ば、その先にある光を見届けたい。岐阜新聞Web 2012年11月 9日(金)
The Times They Are A-Changin'