小父さん自身は平々凡々な人生を送ってきた気もするが、周りを見渡すとけっこういろんな人生を生きている人を見ることが多い。「テルマエ・ロマエ」を書いたヤマザキマリさんの言葉には含蓄を感じますね。
「自由奔放をやめるべきか」と投稿した相談者の心の内に、もやもやとした割り切れないものがあることにも何となく想像がつきます。ゴーイング・マイウェイ(自分のやり方を通している)ってけっこう難しいものだともこの年(70歳)になっても感じることが多いです。よその人の顔を見ながら生きていくのも容易そうですが、どうも小父さんは苦手です。投稿者の方、ヤマザキマリさん有難うございました。私自身が生きていくヒントにもなります。
人生相談 自由奔放をやめるべきか=回答者・ヤマザキマリ
毎日新聞 2017年7月12日 東京朝刊
努力もせず、我慢もせず、気の向くままに生きてきました。周りの友達は結婚し、子供も授かり、ごく普通の生活を送っています。自分はさんざん悪いことをしてハイリスクハイリターンのグレーな仕事をして楽しく生きてきました。全身に入れ墨が入っており、一般の人とは思えないくらいです。友達には「もう30歳だし、まともになったら?」と言われます。自由奔放をやめて普通の人生を送るべきでしょうか。(30歳・男性)
日本に戻ってくるたびに感じるのは、この国における“世間体”という規範の強烈な支配力です。空気を読む、読まない、という言い方がありますが、これこそまさにこの暗黙規範の存在を示すものでしょう。日々懸命に空気を読みつつ、世間体規範をしっかり守って生きている人々にとっては、あなたの入れ墨だらけのたたずまいや、努力も我慢もしない自由奔放さは確かに目障りでしょうし、疎まれても仕方がありません。
でも私は、悪事はともかくとして、あなたが周りと足並みを全くそろえないまま30歳という年齢を迎えたこと、一般の人とは相いれない様子であることに対して特別な違和感は覚えません。「まとも」で「普通」な人しかいない、人間の多様性を許さない社会こそ異常だと思うからです。そんなあなたがやがて家族を持ちたいと思い立ったり「まとも」な人に転換したくなったりしたら、勝手にそうすればいいだけのことです。やっぱり今のまま自由奔放な生き方が自分の性に合っていると感じたら、そのままでも全然かまわないと思います。あなたとは違う生き方を選んだ周りの人々を敬ってさえいけるのであれば。
それにしても、体裁の上では立派そうに振る舞いつつも、自らを俯瞰(ふかん)できない人がやたら目に付くご時世に、あなたが自分自身の異質性を客観的に分析して、このような新聞の人生相談に投稿したことが新鮮に感じられました。(漫画家)
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