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余録 「台風」という言葉は一説に… / 毎日新聞

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  又ひとつ賢くなった。サミットが開かれるシチリア州のタオルミーナは、古代ギリシャおよびローマ帝国の支配下にあったそうな。さらに紀元前392年にシラクサの傭兵によって占領され、紀元前358年にアテナイ、紀元前315年にはカルタゴによって町が占領されたそう。

 さてさて、トランプさんローマー法王やNATO首脳会議他はなんとか切り抜けたのかな?モンテネグロ首相押しのけて、写真撮影の最前列に並んだらしいけど(笑)

  

毎日新聞 2017年5月26日 東京朝刊
 「台風」という言葉は一説にギリシャ神話の 怪物テュポンに由来するという。この怪物は多数のヘビの顔をもち、そこから炎と恐ろしいほえ声を発した。その振るう力はすさまじく、 主神ゼウスにも挑戦する

 ▲一時はゼウスを追い詰めたテュポンだが、最後はイタリアの南方でゼウスが海から拾って投げつけた島の下敷きになる。この島がシチリア島で、エトナ火山の噴火は地下のテュポンが吐く火だという

 ▲今春も噴火したエトナ山を一望できる景勝地タオルミーナで開かれる主要7カ国首脳会議(G7サミット)である。うち首脳4人が新顔となるサミットだが、いつになく主要国の協調の行方が懸念されているのはむろんトランプ米大統領のサミットデビューだからだ

 ▲「露中抜きのG7が生産的か検討する可能性がある」と米ホワイトハウス高官はいう。ならば自由貿易を軸に民主主義や人権、環境などの理念でも国際秩序をリードしてきたG7の枠組みや役割の変更まで論議のテーブルに上るのか

 ▲思えば世界経済の基軸国だった米国の力の低下を主要国で補完しようと発足したサミットである。そこには世界の安定にむけた国際公共的な責任を主要国で分かちあう共通の価値観があった。それが今や当の基軸国の「米国第一」だ

 ▲しかも反グローバリズム、反移民感情など、主要国の結束を揺るがす格差や貧困への人々の不満のマグマは各国で噴き出している。首脳たちがさしかかった主要国協調の難所を見守るエトナ山の噴煙である。

  




2017年5月26日 毎日新聞紙面ビューアーから   

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