-集英社 文芸単行本公式サイト-より抜粋
先輩たちにパシリをやらされる後輩くん、六人の女とつきあうモテ技術卓逸男、商店街の魚屋を盛り立てる元ヤンの嫁、パートのおばさんという立ち位置をこなすバツイチ女性、結婚して三か月で妻に出ていかれたボン、娘がネックのちょい悪親父、大人の婉曲表現にいらつく小学生。それぞれの短編の主人公と彼らをとりまく「分かってない奴」が心理戦とも言えそうな展開を繰り広げ、最後にはぞっとさせられたり、想定外のあったかい気持ちをポンともらったり、とにかく驚くほど面白い。-山本文緒氏- (本の帯から)
長編と違って短編は実に読み易い。全く違ったジャンルの小話みたいで、小父さん的には「あれあれ、こんな世界もあるのか」と目を白黒させながら頭の体操もさせてもらった感じ(笑)。「結婚して三か月で妻に出ていかれたボン」の話『総領の甚六』では夫40歳、妻34歳のカップルだが、ある時妻が貰って来た猫を、妻に出ていかれた後のせめてもの慰めで、獣医にも連れて行ったりとても可愛がっていたのに、ひょっこり帰って来た妻の元へヒョイと駆けこんで行ってしまってニャオォンと妻とともに連れだっていなくなる。可笑しいやら悲しいやら、猫の習性も見事に表現されている。男への戒めの編だな!(笑)