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映画『陽のあたる場所』(A Place in the Sun 1951年 アメリカ)

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  エリザベス・テイラーの名前でBSプレミアムの映画を観た。最初の写真は伯父の家で会った社交界の花・エリザベス・テイラーと貧しい母子家庭に育ったホテルでボーイをしていたモンゴメリー・クリフト。2枚目は、水着製造工場を経営している伯父の工場に職を得たモンゴメリー・クリフトに同じ職場にいた身よりのない娘シェリー・ウィンタースでモンゴメリー・クリフトは、二股をかけていたわけ。

 小父さんの頭だったら後者との純愛になるのか、伯父の縁でエリザベス・テイラーと結ばれるわけだがそのどちらでもない結末に「あれっ」と思った(笑)。クリフトは妊娠させたウインタースに殺意を持つわけだが実際はボートの転覆事故が発生。そして裁判では死刑が確定しその執行直前にテイラーが面会に来て別れのキスもかわす。

 ストーリーはもっと深みがあるものだろうが、現代では想像のつかない展開。ユニークなのが、クリフトフがテイラーの父に経歴を聞かれても、裁判での証言でも真っ正直に答えていた。

 この頃のエリザベス・テイラーは綺麗で純な印象だと思ったら19歳の時の作品だった!

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出演 モンゴメリー・クリフト (ジョージ・イーストマン)、 エリザベス・テイラー (アンジェラ・ヴィッカーズ )、 シェリー・ウィンタース( アリス・トリップ )

解説
作品の出来以上に、神話的な戦後のスター二人、モンティ(モンゴメリー・クリフト)とリズ(エリザベス・テイラー)の心ときめく青春像の彫塑に感激しないではいられない、T・ドライサーの小説の再映画化(31年にJ・V・スタンバーグにより原作と同名の映画「アメリカの悲劇」となっている)。私見だが、ハリウッドがいわゆる青春のナマな部分を映画にできるようになったのは、戦後になり、本作のモンティや、「波止場」のM・ブランド(マーロン・ブランド)の登場があってからで、そこには第二次大戦の影響もある。“世界”をつぶさに見てきた者にとって、それまでのハリウッド的な理想主義や感傷は到底受け容れられるものではなかったろう。リズの生活環境を巡る描写など、本作に甘さがなかったとは言えないが、主人公のジョージ(モンティ)が、潜り込んだ叔父一家(水着作りで成功している)の工場で着々と出世し、関係した同僚の娘アリス(ウィンタース)を捨てようにも喰い下がられ、遂には明確な殺意がないままにも殺してしまう、その下部構造は実にリアル。卑屈なウィンタースの役柄は、ともすると観客の総スカンを喰う所、彼女は些細な愛嬌をそこに盛り込んで、だからこそ、リズの演ずる令嬢アンジェラの気高さを曇りなくする。観客の中には“俺ならばジョージの二の舞はせず、より打算的に行動するだろう”と言う人もあろうが、主人公はその辺、実に人間的に躓いて、子供の頃、母の伝道活動に引きずり回された素地を垣間見せる。圧巻はやはりアリス殺害の瞬間の多義的なロングショットだが、アンジェラと心を通い合わせるパーティの夜の場面や、初めてアリスと情を通じる雨の晩の、窓際に置いたラジオの効果など、恋愛描写が水際立っている。結局、死刑の判決を甘んじて受け入れるジョージ。この心の葛藤は主に内的独白で表現されるのだが、その際もモンティの表情の“揺れ”は、静かで厳かで何度観ても素晴らしい。
allcinema

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 A place in the Sun
      

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