Quantcast
Channel: 小父さんから
Viewing all articles
Browse latest Browse all 4329

男の気持ち:父と息子「息子に『もう1軒、行こうか』と誘うと」 横浜市・福島淳 / 毎日新聞

$
0
0
 どうも男親と息子ってコミュニケーションが悪くなる例って多いみたいだね。なかなか福島さんのお宅みたいにはうまく行かないようだ。私が知っている2人でも全く会話がないようだし、我が息子も世帯を持って子供が出来た後に話しかけてくることが増えた気がする。

 我が息子との間で「楽しかったです。また行きましょう」なんてメールが入ることは多分ないだろうね・・・。息子はそこそこ飲めるし、私は下戸だから(爆)。福島さん素敵なお話を有難うございました。 
  
男の気持ち:父と息子「息子に『もう1軒、行こうか』と誘うと」 横浜市戸塚区・福島淳(会社員・59歳)

毎日新聞 2015年12月04日 東京朝刊

 先日の夜、あるパーティーがお開きになった後、息子と2人だけになった。勤務の都合で、半年前からアパート暮らしをしている息子に「もう1軒、行こうか」と誘うと、即座に「いいよ」との返事。

 少し歩いた先にあるなじみのバーは、既に先客たちで盛り上がっていた。奥の止まり木に腰を下ろすまでの間、いろいろと詮索する気配を感じた。客のほとんどが熟年層のその店には、20代半ばの若者はよほど珍しいらしい。聞かれるより先に、「息子です」と紹介すると、店の空気が急に和らいだ。

 約40年前の春、私は大学生となって故郷を離れた。同時に定年を迎えた父は、別の会社で働き始めたが、その年の夏を迎える前に体調を崩し、療養中心の生活を余儀なくされた。私は、帰省の度に看病はしていたものの、父親とは適度な距離を置きたい年ごろで、特段話すこともなく、むしろ沈黙が支配する時間の方が長かった。結局、2年待たずに別れの時が訪れた。

 私が、就職し家庭を持つ頃になって、ようやく父を父親としてではなく、1人の男として見られるようになった。ある時、酒場で一緒にグラスを交わしていないと気付き、寂しさと悔しさが込み上げてきた。

 以来ずっと、「いつか息子と」との思いを胸の奥にしまい込んできた。息子と別れ、自宅へ向かう電車で携帯が震えた。画面には「楽しかったです。また行きましょう」の文字が並んでいて、私はこっそりガッツポーズをした。

Viewing all articles
Browse latest Browse all 4329

Trending Articles