カットは ゆるりん☆にゅうす【生活豆知識】からお借りした
女の気持ち:両手を広げて 大阪市平野区・祢酒克子(主婦・73歳)
毎日新聞 2015年05月21日 大阪朝刊
今から50年以上も前のこと。彼が20歳、私が18歳で身長差30センチの凸凹コンビだ。互いに好きだったし、一緒にいて楽しかった。でも「この人と結婚しても先がしれてる」と、ふっと思ってしまった。
ちょうど父からの縁談話もあり、その人は彼と違って大学を出て大企業に勤める安定した人だった。「どうしたものか?」。揺れる私の気持ちを察したのか、「いいよ、君の決めた方に行き! それでダメならいつでも帰っておいで。ずっと両手を広げて待ってたるわ」。優しい目が笑っていた。
いつまでも待ってられても困るしというのもあり、結局22歳で彼の元へ。子供も2人授かり、今は孫が3人。この子たちに会えただけでもよかったとつくづく思う。彼、「生まれ変わっても俺の嫁さんになる?」。「とんでもない。今度はがっちりした体の丈夫な人と結婚するわ」。私は即答した。「お前やったら地震が来たら絶対俺を踏んづけて先に逃げるな」「そんなことない」と言いながら、「わからんで」と思う。毎日がぼけとつっこみの漫才のようなおもしろい生活が46年続いた。
そんな彼が旅立って4年。月1回の墓参りで家族全員の幸せ、平和、健康を祈る。ついでに「鈍くさい私が転びませんように」と手を合わせる。彼が嫌いだったため一度も食卓に出なかった納豆もオクラもよく食べるようになった。好きな人のコンサートもいっぱい行きたいし、まだしばらくはそちらの方で両手を広げて待っといてくれる?
祢酒克子さんはとても素敵な人生だったんですね。世の中には幸せが掴めなかった人もたくさんおられるようですが、私も平平凡凡でもいいので祢酒さんみたいに元気に過ごしたいと思っています。もう20年以内には我が家にも必ずそんな現実があることでしょう。現在67歳です、20年は厚かまし過ぎますかね(笑) 祢酒克子さん、どうも有難うございました。
女の気持ち:両手を広げて 大阪市平野区・祢酒克子(主婦・73歳)
毎日新聞 2015年05月21日 大阪朝刊
今から50年以上も前のこと。彼が20歳、私が18歳で身長差30センチの凸凹コンビだ。互いに好きだったし、一緒にいて楽しかった。でも「この人と結婚しても先がしれてる」と、ふっと思ってしまった。
ちょうど父からの縁談話もあり、その人は彼と違って大学を出て大企業に勤める安定した人だった。「どうしたものか?」。揺れる私の気持ちを察したのか、「いいよ、君の決めた方に行き! それでダメならいつでも帰っておいで。ずっと両手を広げて待ってたるわ」。優しい目が笑っていた。
いつまでも待ってられても困るしというのもあり、結局22歳で彼の元へ。子供も2人授かり、今は孫が3人。この子たちに会えただけでもよかったとつくづく思う。彼、「生まれ変わっても俺の嫁さんになる?」。「とんでもない。今度はがっちりした体の丈夫な人と結婚するわ」。私は即答した。「お前やったら地震が来たら絶対俺を踏んづけて先に逃げるな」「そんなことない」と言いながら、「わからんで」と思う。毎日がぼけとつっこみの漫才のようなおもしろい生活が46年続いた。
そんな彼が旅立って4年。月1回の墓参りで家族全員の幸せ、平和、健康を祈る。ついでに「鈍くさい私が転びませんように」と手を合わせる。彼が嫌いだったため一度も食卓に出なかった納豆もオクラもよく食べるようになった。好きな人のコンサートもいっぱい行きたいし、まだしばらくはそちらの方で両手を広げて待っといてくれる?
祢酒克子さんはとても素敵な人生だったんですね。世の中には幸せが掴めなかった人もたくさんおられるようですが、私も平平凡凡でもいいので祢酒さんみたいに元気に過ごしたいと思っています。もう20年以内には我が家にも必ずそんな現実があることでしょう。現在67歳です、20年は厚かまし過ぎますかね(笑) 祢酒克子さん、どうも有難うございました。