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女の気持ち:コーヒーの思い出 徳島県小松島市・谷本和枝(主婦・57歳)/ 毎日新聞

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写真は小父さんの勝手なイメージです。     


  


女の気持ち:コーヒーの思い出 徳島県小松島市・谷本和枝(主婦・57歳)

毎日新聞 2015年04月20日 大阪朝刊

 久しぶりにコーヒー専門店のコーヒーをテークアウトして飲んだ。それは、母がホスピス病院に入院していた頃の懐かしい味だった。

 母は、がんが骨に転移して、寝たきり状態だった。食事にも介護が必要で、私は、毎日病院へ通い世話をした。

 母は、食事が終わると、時々コーヒーを飲みたがった。病院の備え付けの自動販売機で缶コーヒーを買って飲んだり、週1回のボランティアの方がいれてくださったコーヒーを飲んだりした。

 土、日曜日には、主人も一緒に母を見舞った。私がいつものように、母の食事の介護をしていると、いつの間にか主人の姿が見えなくなった。

 母の食事が終わり、テレビを見ながらおしゃべりしていると、主人が紙コップになみなみ入っているコーヒーをこぼさないように注意しながら病室に入ってきた。

 ホスピス病院からコーヒー店は近く、主人は1杯だけテークアウトして買ってきてくれたのだ。いれたてのコーヒーは、病院までもってくる間にちょうど飲みごろになっていた。

 主人に「ありがとう」と言いながら、母と2人で1杯のコーヒーを半分ずつに分けて飲んだ。母は半分の量で十分だった。「やっぱり○○コーヒーのは、おいしいなあ」と満足そうだった。

 私は、母のうれしそうな顔と主人の思いやりを思い出し、味わいながらコーヒーを飲んだ。

 


  谷本和枝さんのコーヒーの思い出で心が温まる思いです。私は義母が入院している間に何か出来たかな?なにせ、あちこちに変わった入院先に家内を送り届けはしたが後は義母と、かみさんの会話を待合室ほかでひたすら待ち続けるだけ。この記事を早くに読んでいたら何かすることが見つかったかも知れない。谷本さん、ありがとうございました。


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