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Listening:<時評・点描>箱根駅伝、スポーツにあらず=玉木正之/毎日新聞

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Listening:<時評・点描>箱根駅伝、スポーツにあらず=玉木正之

2014年12月27日 毎日新聞

 私は、箱根駅伝が大嫌いだ。理由は明快。それがスポーツとは思えないからだ。

 実力だけで誰もが平等に参加できるのがスポーツの大原則。だが箱根駅伝は関東の男子大学生だけの大会。なのにメディアが大騒ぎしすぎる。その結果男子高校生の優秀な中長距離ランナーの多くが箱根を走ることを目指して関東の大学への入学を希望し、地方大学と格差が生じている。

 そんな格差を批判すべきメディアが主催者となり、ジャーナリズムを放棄して「正月の風物詩」とあおり、関東の大学の宣伝に一役買って格差を助長しているのにはあきれる。が、全国規模の大会にするにも問題がある。

 「駅伝が(日本の)マラソンをダメにした」(生島淳・著/光文社新書)という書籍もあるように、「たすきをつなぐ」ことに必死のあまり、科学的なランニングを忘れ「駅伝で燃え尽きる」ランナーが少なくないとの批判もよく耳にする。

     

 ましてや高い山を上り下りする箱根のコースは世界のロードレースとしては極めて特殊で、記録は公認されない。その過酷な坂道を走る走者を「山の神」などと称賛すればイベントは盛りあがるだろうが、そんなレースを全国の若いランナーが目指せば、日本の長距離界はさらに優秀な人材を失うだろう。

 最近の世界のスポーツ界は男女平等が大原則で、男子のレースしか行わない箱根駅伝は女性差別的・非スポーツ的な大会ともいえる。毎年末に京都で行われる高校駅伝も女子の距離はなぜか男子の半分のハーフマラソンで、日本の陸上界は「女性は弱い」という古い考えに縛られているとも思えるが、箱根駅伝に女性の参加が許されていないのは、女性の長距離走者を守る意味でむしろ喜ぶべきだろう。

 以上の「箱根駅伝非スポーツ論」に対し、箱根駅伝賛成派の声を聞いてみたいものだ。【スポーツ評論家】


  

  ネットサーフィンしていたら面白いコラムに突き当たった。これは反論する人もたくさんいるだろうね。でもうなずけることも多い。

  但し、スポーツ音痴の小父さんは、確たる考え方は今はまだない。記憶に新しいところではこの玉木正之さん、2007年日本シリーズで史上初となる完全試合達成目前だった中日・山井大介投手を交代させたことについて、「これが野球かと、底知れぬ絶望感を抱いている」などと批判したね。いや、歯に衣着せぬ評論には耳を傾けたくなる。


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