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2014年8月6日【大自在】 / 八雲が今、残すのならどんな「怪談」になるのだろう。

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 安田米斎画『子育て幽霊図』〜ウィキペディア   

  

(2014/8/ 6 07:45) 静岡新聞SBS

 島根県松江市に伝わる「子育て幽霊」 。小さな飴[あめ]屋に毎晩、白衣の女が水飴を買いに来る。不審に思った飴屋が女をつけると墓場に帰っていく。その晩は怖くなり家に戻ったが、翌晩ついていくとある石塔で女の姿が消えた。すると地面から赤子の泣き声が。掘り起こすと、女の亡骸[なきがら]のそばで赤子が笑っていた

▼母親はまだ冷たくなる前に葬られたため、墓の中で赤子が生まれ、幽霊になっても水飴で養っていたのだった。この民話を怪談として紹介した小泉八雲は「母の愛は死よりも強いのである」と結んでいる

▼「耳なし芳一」「雪女」などと比べそう知られた一話ではないが、八雲のひ孫で民俗学者の小泉凡さん(53)=焼津小泉八雲記念館名誉館長=は、この話が八雲の怪談の中で一番好きだという

▼晩年の夏を焼津で過ごした八雲は、ことし没後110年を迎える。先日、焼津市で講演した凡さんは、八雲が伝えたかった「怪談」は人の恨みつらみの上に成り立つのではなく、自然との共生、人知を超えた「ご縁」の力に基づいていると説明してくれた

▼八雲が怪談を通して「死より強い母の愛」と、欧米に伝えた「親子の縁」の力はいずこに。全国の児童相談所が2013年度に対応した児童虐待の件数は7万件を超え、過去最多を更新した

▼先月自殺した中2の長男に暴行した疑いで逮捕された父親は、「24時間以内に死ね」と迫っていたそうだ。八雲は独自の精神文化を忘却しつつあった日本の将来を危惧していたとされる。八雲が今、残すのならどんな「怪談」になるのだろう。


  

 テレビのない子供の頃、夏の夜にラジオから聞こえてくる怪談話の怖かったこと怖かったこと。ピーヒャララ ドンドンドンドンなんて太鼓がなったら耳を両手で必死で塞いでいた。久々にこのコラムで「子育て幽霊」のさわりの部分に接したらなんだか素敵な気がした。

 でも現代社会を賑わしているテレビから流れてくる実際の怪談話は国内といい海外といい目も背けたくなるし、音声も消したくなるものばかり。いつからこんな人間社会に変っていったのかね〜。

 古典的な「怪談」が廃れるはずだ!


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