「よーく人を観察していると、次の役が来た時、ヒントになることがあるんですよ」=東京都千代田区で、武市公孝撮影
人生は夕方から楽しくなる:実人生を超える役、エネルギーもらう 頭取から「おっさん」に、北大路欣也さん
毎日新聞 2014年01月17日 東京夕刊
この圧倒的な目力! スクリーンや画面を通してもド迫力なのに、至近距離でにらまれては「ハハア、私がワルーございました」とひれ伏したくなる。
13歳の時、時代劇スターだった父・市川右太衛門(うたえもん)(1999年に92歳で死去)主演の映画「父子鷹(おやこだか)」で若き日の勝海舟を演じデビュー。その直後、生まれ育った京都から東京に居を移した。
東京に来て間もない中学2年の時、学校帰りの電車の中でたばこを吸っている学生4人組に遭遇した。注意すべきか、黙っていようか迷っているうちに目が合ってしまった。「ガン飛ばしやがったな」と神宮外苑に連れていかれ、こてんぱんにやられた。「心の中ではちゅうちょしていたんだけど、にらみつけていたんでしょうね。ただ、顔だけは殴られなかった。俳優だとわかっていたのかなあ」
目の前の悪事を見逃せない。少年のころから既に眼光は鋭かったようだ。
昨年、平成ドラマの最高視聴率42・2%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を記録した「半沢直樹」で銀行の頭取役を演じた。徳川家康、空海、首相……時代劇でも現代劇でも“偉い人”のイメージが強い。はまり役の重厚な役を演じる時は「どんなに大変な仕事なんだろうか、のぞいてやろうと挑戦する気持ちがある」。
17日スタートのドラマ「三匹のおっさん」( テレビ東京系、金曜午後7時58分)では一転、定年退職し近所のゲームセンターに再就職する剣道の達人キヨを演じる。肩書を失った、どこにでもいそうなおっさん。幼なじみの2人と私設自警団を結成し、町内の安全をおびやかす悪いやつらをとっちめる。
携帯電話会社のCMの犬の声が話題になったのに続くイメージチェンジである。同名の有川浩さん の原作小説はシリーズ累計100万部を突破した。「この役が私に来るとは夢にも思わなかったけど、オファーが来たということは制作者は私に賭けているわけだよね。もちろんあの少年時代の経験を役作りに生かしていますよ」
それでもこれまでの役とはがらっと変わった市井の人を演じるのは難しいという。「自然にそこにいなければならない。自分を解きほどいていくとどのような姿が現れるのだろうかと自問自答の日々です」
台本は書き込みで真っ黒。ひとつのせりふの中にも、その人物の感情が切り替わる瞬間“折れ”があるそうだ。若いころ、劇団四季でたたき込まれた習慣で、今でも台本を読むと自然に手が動いて折れを書き込んでしまう。
数え切れないくらい多くの役柄に挑んできた。
「そんなに幅広く何もかも演じられるわけじゃない。ただ、20代の時には20代の、30代の時には30代の魅力のある役をやらせてもらい、その積み重ねで今がある。そういう意味ではちゃんとステップを踏んできたんだよな。しかも実人生をはるかに超える素晴らしい役をいただいてきました。俳優というのは演じながらその役から学び、エネルギーをもらっているのだと思います」
70歳。現在の境地は−−。「俳優である前に人間ですから、一人の男としてどういう思いを持って生きているかが大事。いま自分にできる最善を尽くす。睡眠、食事、運動と仕事のバランスをとることには気を使っています。特に柔軟体操は欠かさないようにしていますが、3日やらないともう硬くなっている。体は正直だね」
その目は笑うと、とてつもなく優しげになる。【大槻英二】
==============
■人物略歴
◇きたおおじ・きんや
俳優。1943年生まれ。早稲田大卒。「火まつり」「春の鐘」で85年度毎日映画コンクール男優主演賞。2007年に紫綬褒章。
役者って何でもやるんだね。「半沢直樹」の頭取役はなかなかの貫禄だった。もうしばらくしたらまた続きの放送もあるだろう。人からの話によるとこの頭取が一番のたぬき親父とか。うそか本当かは放映時のお楽しみ。
テレビの「華麗なる一族」の万俵大介 役も嵌っていたんじゃーなかったのかな?観ていないんだが、そんな役ばかりを演じていたのかと思っっていたがソフトバンクの犬の声もそうなのか!このCMが始まった時、とても違和感を感じたがいつの間にかに慣れさせられてしまった。
北大路欣也氏は中学校の時隣のクラスの女の子が「北大路欣也さん大好き〜!」と言っていたのそれからいい男って彼みたいな人なのかってずっと思っていた(爆)。もう70歳なんだ!
人生は夕方から楽しくなる:実人生を超える役、エネルギーもらう 頭取から「おっさん」に、北大路欣也さん
毎日新聞 2014年01月17日 東京夕刊
この圧倒的な目力! スクリーンや画面を通してもド迫力なのに、至近距離でにらまれては「ハハア、私がワルーございました」とひれ伏したくなる。
13歳の時、時代劇スターだった父・市川右太衛門(うたえもん)(1999年に92歳で死去)主演の映画「父子鷹(おやこだか)」で若き日の勝海舟を演じデビュー。その直後、生まれ育った京都から東京に居を移した。
東京に来て間もない中学2年の時、学校帰りの電車の中でたばこを吸っている学生4人組に遭遇した。注意すべきか、黙っていようか迷っているうちに目が合ってしまった。「ガン飛ばしやがったな」と神宮外苑に連れていかれ、こてんぱんにやられた。「心の中ではちゅうちょしていたんだけど、にらみつけていたんでしょうね。ただ、顔だけは殴られなかった。俳優だとわかっていたのかなあ」
目の前の悪事を見逃せない。少年のころから既に眼光は鋭かったようだ。
昨年、平成ドラマの最高視聴率42・2%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を記録した「半沢直樹」で銀行の頭取役を演じた。徳川家康、空海、首相……時代劇でも現代劇でも“偉い人”のイメージが強い。はまり役の重厚な役を演じる時は「どんなに大変な仕事なんだろうか、のぞいてやろうと挑戦する気持ちがある」。
17日スタートのドラマ「三匹のおっさん」( テレビ東京系、金曜午後7時58分)では一転、定年退職し近所のゲームセンターに再就職する剣道の達人キヨを演じる。肩書を失った、どこにでもいそうなおっさん。幼なじみの2人と私設自警団を結成し、町内の安全をおびやかす悪いやつらをとっちめる。
携帯電話会社のCMの犬の声が話題になったのに続くイメージチェンジである。同名の有川浩さん の原作小説はシリーズ累計100万部を突破した。「この役が私に来るとは夢にも思わなかったけど、オファーが来たということは制作者は私に賭けているわけだよね。もちろんあの少年時代の経験を役作りに生かしていますよ」
それでもこれまでの役とはがらっと変わった市井の人を演じるのは難しいという。「自然にそこにいなければならない。自分を解きほどいていくとどのような姿が現れるのだろうかと自問自答の日々です」
台本は書き込みで真っ黒。ひとつのせりふの中にも、その人物の感情が切り替わる瞬間“折れ”があるそうだ。若いころ、劇団四季でたたき込まれた習慣で、今でも台本を読むと自然に手が動いて折れを書き込んでしまう。
数え切れないくらい多くの役柄に挑んできた。
「そんなに幅広く何もかも演じられるわけじゃない。ただ、20代の時には20代の、30代の時には30代の魅力のある役をやらせてもらい、その積み重ねで今がある。そういう意味ではちゃんとステップを踏んできたんだよな。しかも実人生をはるかに超える素晴らしい役をいただいてきました。俳優というのは演じながらその役から学び、エネルギーをもらっているのだと思います」
70歳。現在の境地は−−。「俳優である前に人間ですから、一人の男としてどういう思いを持って生きているかが大事。いま自分にできる最善を尽くす。睡眠、食事、運動と仕事のバランスをとることには気を使っています。特に柔軟体操は欠かさないようにしていますが、3日やらないともう硬くなっている。体は正直だね」
その目は笑うと、とてつもなく優しげになる。【大槻英二】
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■人物略歴
◇きたおおじ・きんや
俳優。1943年生まれ。早稲田大卒。「火まつり」「春の鐘」で85年度毎日映画コンクール男優主演賞。2007年に紫綬褒章。
役者って何でもやるんだね。「半沢直樹」の頭取役はなかなかの貫禄だった。もうしばらくしたらまた続きの放送もあるだろう。人からの話によるとこの頭取が一番のたぬき親父とか。うそか本当かは放映時のお楽しみ。
テレビの「華麗なる一族」の万俵大介 役も嵌っていたんじゃーなかったのかな?観ていないんだが、そんな役ばかりを演じていたのかと思っっていたがソフトバンクの犬の声もそうなのか!このCMが始まった時、とても違和感を感じたがいつの間にかに慣れさせられてしまった。
北大路欣也氏は中学校の時隣のクラスの女の子が「北大路欣也さん大好き〜!」と言っていたのそれからいい男って彼みたいな人なのかってずっと思っていた(爆)。もう70歳なんだ!