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本 / 『ローマ人物語 2 』 ハンニバル戦記 塩野七生 著

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 長靴を思わせるイタリア半島の「つま先」に、今にも触れそうな感じでシチリアがある。イタリア本土とこのシチリア島をへだてる海峡は、シチリア最東端の都市メッシーナの名をとって、古代からメッシーナ海峡と呼ばれてきた。最短距離ならば、わずか三キロ。本土側の連絡船の発着地ヴィッラ・サンジョヴァンニからメッシーナの港まででも、七キロしか離れていない。この間を結ぶ連絡船に乗れば、コーヒーを注文して、それをゆっくりと飲み終える頃には着いている。 (中略)

 船で渡るしかないとなれば、メッシーナ海峡の状態は二千二百年昔も現代もたいした変わりはないことになる。イタリア本土側に立ってシチリアを眺めたときにいだく想いも、同じようなものではなかったか。そして、たとえ海が間にあろうと、この距離がこの想いが、ローマとカルタゴの対決の端緒となったのであった。 (序章より抜粋)

  

  

内容(「BOOK」データベースより)
カルタゴ国滅亡という結果に終るポエニ戦役。興隆の途にあるローマ人は、はじめて直面した大危機を“ハンニバル戦争”と呼び、畏れつつ耐えた。戦場で成熟したカルタゴ稀代の名将ハンニバルに対して、ローマ人は若き才能スキピオとローマ・システムを以て抗し、勝った―。歴史はプロセスにあり、という視点から余すところなく、しかし情緒を排して活写される敗者と勝者の命運。

内容(「MARC」データベースより)
カルタゴ稀代の名将ハンニバルとローマの若き才能スキピオの対決が軸となったポエニ戦争は、興隆期のローマが最初に迎えた大危機だった。経済力・軍事力で劣りながら勝利を収めたローマの歴史を劇的に描く、ライフワーク第2弾。 amazon.co.jp から




 『ローマ人物語 1 』ローマは一日にして成らず をアップしたのが1月19日だから、もう11ヶ月も経ってしまったのか。あの頃は1ヶ月に1冊読むつもりでいたがなかなか読めない。

 古代ローマ帝国が地中海世界の全域を支配する世界帝国になったのはテレビで見聴きしていたが、カルタゴから出て来たハンニバルの強いこと強いこと!スペインから象もひき連れてアルプス越えをしてイタリアに入った話もテレビの映画で観たはずなんだが、イタリア半島では誰も戦いたくないくらいの強さであることは想像もしていなかった。

  
アルプス山脈を越えるハンニバルの軍 

 まるで日本で言うところの国盗物語、群雄割拠の戦国時代の様相なんだが、年代は紀元前264年から146年までの話。大船団にしろ、何万という数の軍隊、元老院、高度な戦術などの文化があったのだから驚きという他はない。日本はまだ弥生時代が続いているのだから。

 ローマ人の地中海制覇は、カルタゴの滅亡まで含めて、「ハンニバル戦争」の余波なのであった。ローマの壊滅を生涯の彼岸としたハンニバルは、他の誰よりもどの国よりも、ローマを強大にするのに力を貸してしまったことになる。地中海全体を、これほども短期間のうちにローマ人の「われらが海」(マーレ・ノストゥルム)にしてしまったのも、ハンニバルであったと思うしかない。(あとがきより抜粋)

 いやー凄い、凄い。正直なところ眠たくなるところもあり惹きつけられる箇所もある。全15巻を読破するまで我が命は繋がっていようか?その前にギブアップするのが普通の流れの気がするが!(笑)。

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