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田中優子の江戸から見ると「言葉の深化」 / 毎日新聞

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毎日新聞 2020年12月9日 東京夕刊

 いらだちをトゲのある言葉にしてツイートし合うような自己表現が、世間にあふれている。あるいは、尋ねられたことをすり替えて継続不能にする対話が繰り返されている。近ごろ言葉が貧しい。そう感じるたびに心がささくれ立ってくるようだ。

 そんな日々の中、朝日新聞と法政大学共催で今年も「朝日教育会議」を開催した。編集工学研究所所長の松岡正剛氏と建築家の隈研吾氏に来ていただき「これからの大学forダイバーシティ~多読・会読・連読の場」という題名で、無観客で行った。

 最初に、私からコロナ禍で世界中の大学が変わる中、気づいたことを話した。題して「コロナ禍で発見した五つのこと」である。まず「私たちは対面で何をしていたか」を振り返った。人は驚くほど多様な情報をやりとりしている。他の人の表情やしぐさ、姿勢、身体、声音などから多くの情報を受け取っている。「言葉で何をやりとりしていたか」を振り返ると、意味だけではなく抑揚や話し方でさまざまなニュアンスを伝えていたことがわかる。さらに「大学にとって教室とは何だったか?」「大学にとって時間とは何だったか?」を話し、最後に「何が大切か」を提案した。

 オンライン化に伴って言葉による伝達の比重が大きくなっているにもかかわらず、言葉が貧しくなっていること、今こそ言葉の深化が必要で、言語表現において、皆が詩人になるほどの全身的で根源的な表現の凝縮が必要になっていることを語った。

 江戸時代の藩校や私塾では学び始めの段階で、音読によって体に古典の言葉を刻み込んだ。言葉の拠点を持った個人はそこに戻りながら意味を反すうし、自分の言葉を編んでいった。読書とは自分の中に言葉の拠点を持つことだった。深さと粋を持った言葉をどうすれば取り戻せるだろうか。(法政大総長)
  
 田中優子先生は関口宏のサンデーモーニングのコメンテーターとして依然から和服で出演していて、関口MCから「優子さんの意見はいかがですか」なんて投げかけられていたのが途端に法政大総長に就任となって驚いたものだが、今でも関口さんは「優子さん・・・」と指名されて、淡々と意見を述べておられるような・・・。

 このコラムの書き出しの「いらだちをトゲのある言葉にしてツイートし合うような・・・」はトランプさんが世界中に流行らせたようだね。いや、それより早く府知事になりたての橋下徹氏もやっていた!

 でも、対面して「表情やしぐさ、姿勢、身体、声音などから多くの情報を受け取っている」ことや「抑揚や話し方でさまざまなニュアンスを伝えていた」って大事なことだよね。そんな意味ではマスクは本当にコミュニケーションを邪魔している。

 小父さんもブログで遊んでいるのはいいが、優子先生が言うようにブログ上での言葉には気をつけなければいけないとまた思ったね。過去にも言葉一つで誤解を生んだ経験をいくつもやってきたから・・・。

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