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本 / 『縦走路』 新田次郎  著

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北アルプス、冬の八ヶ岳で二人の山男は、「女流登山家に美人なし」と言う通念をくつがえす、美貌のアルピニスト“千穂”に夢中になる。彼女の旧友でライバルの美根子を交えた四人の間に恋愛感情のもつれが起こるが、命がけの北岳胸壁攻撃の後、千穂は……。きびしい冬山と氷壁を舞台に、“自然対人間”そして“男対女”を通して緊迫したドラマをみごとに描く傑作長編山岳小説。昭和37年7月10日 発行(新潮文庫)

美貌の登山家と山男二人。その恋には恐るべき罠が仕掛けられていた。人間の本質を見据えた新田文学の真骨頂。

著者プロフィール
  新田次郎 ニッタ・ジロウ
(1912-1980)1912(明治45)年、長野県上諏訪生れ。無線電信講習所(現在の電気通信大学)を卒業後、中央気象台に就職し、富士山測候所勤務等を経験する。1956(昭和31)年『強力伝』で直木賞を受賞。『縦走路』『孤高の人』『八甲田山死の彷徨』など山岳小説の分野を拓く。次いで歴史小説にも力を注ぎ、1974年『武田信玄』等で吉川英治文学賞を受ける。1980年、心筋梗塞で急逝。没後、その遺志により新田次郎文学賞が設けられた。実際の出来事を下敷きに、我欲・偏執等人間の本質を深く掘り下げたドラマチックな作風で時代を超えて読み継がれている。

  

  全くの山物語かと思ったら、男と女のからみはあるし、かと思いきや夏の立山に冬の八ヶ岳縦走北岳の岩場も出てくる。冬山登山なんてテレビでドキュメント観るものと全く違う世界、遭難すれすれの情景が描かれ、ドキドキするはその臨場感のあること。ロッククライミングもそうだな、山登りの奥の深さや高度な技術にこれほど接したのは初めてだ。

 もちろん新田次郎さんのこと、「風」「霧」「寒気」「氷」などの気象状況が見事にストーリーも形成している。男女間はむしろプラトニックラブに近いものがほとんどなのに、社長の女になっている登場人物もいたり、彼女がすべてをかき乱すわけだが・・・(笑)。山のこともちょっぴり分かった気になった。本が発刊されたのは小父さんが中学3年の時だから、登山用具や名称に古い名前が出てくるのも興味深い。

 巻末の小松伸六さんの解説には、「この作品の絶対的魅力は?やはり細部にわたる正確な山の描写にあるのではないか。」と書かれていた。  









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