発信箱:大幅賃上げ?=福本容子(論説委員)
毎日新聞 2015年03月20日 00時05分(最終更新 03月20日 00時06分)
春闘が熱い。トヨタ自動車が、過去最高水準という「大幅賃上げ」に踏み切ると、日産自動車、ホンダ、そして電機メーカーが次々と後に続く。ついにアベノミクス開花か!?
海の外から眺めると、かなり様子が違うみたい。イギリス系金融グループ、バークレイズが今月初めに出したリポートによると、日本人の賃金はアベノミクス前の半分に激減したって! ドルに換算して比べたのだ。第一の矢である日銀の大規模金融緩和、つまり円の超大量生産により、ドルに対する円の価値がほぼ半減した結果である。
野田佳彦前首相が、衆議院の解散を口にした2012年11月半ばに、アベノミクス相場は事実上始まった。1ドル=約80円だった為替相場は今、約120円だ。例えば当時、1日の収入が8000円という人がいたとする。100ドルの買い物をするのに1日働けばよかったのが、今だと1万2000円要るので、1日半、働く必要がある。
1日の収入だけで100ドルの物を買うには、この間、賃金が50%アップしていなくてはならない。年率2〜3%程度の賃上げで感動している場合ではないのだ。しかも、圧倒的多数の日本人は、2〜3%の賃上げさえ授かっていないのである。
もちろん、私たちはドルではなく円で暮らしている。だから気付きにくいけれど、日本人の労働の国際的値段が下がり、せっかくの原油安の恩恵も取りこぼした。外国人観光客が割安の日本を楽しむ中、日本人は海外旅行がしづらくなった。
ドルベースでの大幅賃下げが、消費の足を引っ張った、とバークレイズのリポート。「強い日本を取り戻す」のなら、日本人労働者を貧乏にする「弱い円」政策は変えた方がいい。
はっはっは、「井の中の蛙」とは正にこのことだ!子供だましみたいな日銀 黒田総裁の大規模金融緩和マジックとアベノミクスというプールの中でみんな泳がされているんだ。何だか哀れだね。そして輸入関連産業はその影で泣いているってことか。こちらは最近あまり報道されないね。
日本国というのは所詮その程度なんだろうか・・・?小父さんは年金暮らしだけど(笑)。福本容子さん分かりやすい解説有難うございました!